荷役とは
一、荷役の読み方・意味
荷役は「にやく」と読みます。辞書的な意味は船荷となっていますが、物流用語としては、船荷に限定していません。
物品の輸送・保管の際の積みおろし、倉庫へのしわけ入出庫および仕分作業をいう。パレットとフォークリフト、ホイスト、クレーン、コンベヤ、垂直荷役機などの進歩・普及により、荷役における技術革新が進められており、人力に頼らなければならない部分は減少し、また人力では不可能な作業も可能となっている
また、英語では、【cargo work】【cargo handling】などと表現されます。
二、荷役の種類
荷役の種類は、以下に分類されます。作業場所によって種類が分けられていることが分かります。
種類 | 内容 |
---|---|
陸上荷役(りくじょうにやく) | 陸上で行われる荷役。 運送、製造現場、工場などで荷物の、積み下ろし、運搬、積み付けや仕分けなどを行うこと。鉄道、トラック(貨物自動車)、航空機などによる輸送現場が該当する。 |
湾岸荷役(わんがんにやく) ・沖荷役(おきにやく) ・岸壁沿岸荷役(がんぺきえんがんにやく) | 埠頭や港で行われる荷役。 船舶による海上輸送現場が該当する。船舶からの積み下ろし、運搬などの作業を行い、隣接した倉庫に保管する。また、荷役を行う場所により2つに分けられる。 埠頭外の港内で行われる沖荷役(船内荷役)は海上のコンテナ船上で行われる。一方で、埠頭・岸壁で行われる岸壁沿岸荷役は、船舶を横付けするために突き出た建造物の埠頭や、船舶と陸地をつなぐ岸に沿った岸壁で行われる。 |
荷役作業の種類
荷役で行う作業の総称を荷役作業(にやくさぎょう)と呼びます。輸送や保管などの作業が行える状態にするための付帯作業が多く、様々な作業が荷役作業として分類されます。
具体的に、陸上荷役を例にしてそれぞれの荷役作業を説明します。
No | 作業の種類 | 内容 |
---|---|---|
① | 積卸し・ 積み下ろし | トラックや鉄道、飛行機などで輸送され、届いた荷物をそれらから下ろす作業のこと。(船舶では、荷物を集めてコンテナを用いて輸送し、コンテナ内に荷物を出す作業をデバンニングと呼びます) |
② | 運搬 | 荷物を運び動かす作業のこと。倉庫での荷物保管、移動、持出など様々な場面で運搬作業が発生します。 |
③ | 積み付け | トラックの荷台やパレットなどのスペース(空間)に荷物を整列し、積み上げる作業のこと。輸送では、荷物の発送時や積み替え時に行い、倉庫での保管では、効率的に運搬、保管するような場面で作業を行います。(船舶では、コンテナ内に荷物を入れる(詰める)作業をバンニング・バン詰めと呼びます) |
④ | 入庫 | 保管場所(物流センターや倉庫)に荷物を入れる作業のこと。 |
⑤ | 格納 | 平置きやラックなどを用いて、予め決められた場所に荷物を保管すること。現在はロケーション管理で効率的に管理されています。 |
⑥ | 取り出し | 保管された場所から荷物を持ち出すこと。 |
⑦ | 仕分け | 荷物をある基準に沿って、分ける作業のこと。荷物の形状、行先などによって分類します。 |
⑧ | ピッキング | 保管場所(物流センターや倉庫)から必要なものを必要な個数集める作業のこと。荷物を出荷するときに発生します。 |
⑨ | 荷揃え | 一か所に荷物を集め、出荷する準備をする作業のこと。仕分けを行った後に、荷揃えを行います。 |
⑩ | 出庫 | 保管場所(物流センターや倉庫)から荷物を出す作業のこと。 |
三、荷役機械
輸送・保管する荷物は、大小さまざまな形状をしており、中には人力作業では動かすことができない重量物なども存在しています。その為、荷役作業の多くは、機械を用いて作業を行います。荷役に使用する機械を荷役機械(にやくきかい)と呼びます。
〈クレーン類〉
荷物を吊り上げ、移動させるための機械です。特に重量物を取り扱うことの多い場面で使用されます。
・天井クレーン
建物の天井の柱に沿って設置されており、大型・大容量の荷物のつり上げも可能です。
・ジブクレーン
壁などに比較的簡単に設置できるが、小型の荷物に適しています。
・アンローダ
船舶から、バラの荷物を下ろす専門のクレーンです。
その他、2本の足があり、橋のようになっている橋形クレーン、2本の塔の間にメインロープ(ケーブル)を張り荷物を吊り上げるケーブルクレーンなどがあります。
参考:一般社団法人日本クレーン協会
〈コンベヤ類〉
荷物を自動的に一定のスピードで、一定の方向に移動させる機械です。何かの作業を行いながら荷物を移動させることができるので、仕分けなどの作業で導入されています。
・ベルトコンベヤ
備え付けたモーターでベルトが動き、そのベルトに荷物を載せることで移動させます。ベルト自体が荷物を運ぶため、移動する力は大きくなります。
・ローラコンベヤ
大量のローラーが設置されており、そのひとつひとつのローラーが回転することで荷物を移動させます。移動させる力はそれほど大きくありません。
その他、チェーンコンベヤ、スクリュー羽を回転させるスクリューコンベヤ,エレベータもコンベヤの一種です。
〈運搬車両〉
トラックなどから荷物を積み下ろし、積み付け、運搬を行うことができます。荷物を積む2本のツメ(フォーク)と上げ下ろしさせることができるマストを有している荷役運搬車両をフォークリフトトラックと呼びます。